クロザリルによる治療抵抗性統合失調症の治療
クロザリルについて
クロザリルは治療抵抗性統合失調症の治療に使用されます。
治療抵抗性とは?
統合失調症の方に対しては、近年多くの有効な薬がわが国にも導入され、その病状を改善できるようになりました。しかし、さまざまな薬をきちんと服用していても、幻覚妄想などの精神症状などがよくならないことがあり、これを「反応性不良」といいます。また副作用が生じやすいために、必要な量の薬を投与できず、そのために病状がよくならないこともあり、これを「耐容性不良」といいます。そしてこの「反応性不良」と「耐容性不良」をまとめて「治療抵抗性」といいます。
「治療抵抗性」に対するクロザリルの効果
クロザリルはこのような「治療抵抗性」の状態にある統合失調症の方にも有効な場合があることが証明された唯一の薬です。
日本で行われた臨床試験では、治療抵抗性とされる方のうち約57~67%で精神症状の改善が認められました。
クロザリルは多くの国で使われており、日本には2009年に導入され、2021年3月末までにのべ11,000人以上の方に用いられました。
クロザリルの投与を検討される方
・ほかの薬で治療していても、幻覚に悩まされるなどの症状(陽性症状)や、引きこもって
何もできないなどの症状(陰性症状)が改善しない方
・ほかの薬で治療していても、多量の水を飲む、自分を傷つけてしまう、暴力をふるうなど
の行動が問題となっている方
・ほかの薬で治療していて、足がムズムズする、じっと座っていられない、手足がつっぱる
などの副作用のため、必要な量の薬を服用できない方
・ほかの薬で治療していても、再発・再入院を繰り返していたり、今の薬での治療継続が
難しい方
クロザリルの副作用と対策
頻度は低いですが、重篤な副作用として白血球減少や高血糖、心筋炎などがあります。
そのために、入院下で投与が開始され定期的な血液検査によりモニタリングを実施します。
クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)
CPMSは継続的な血液検査が行われ、安全に使用されているかを絶えず確認するためのシステムです。副作用が現れた場合などに迅速に発見し、適切な治療を受けることを目的としています。
また、クロザリルを使用するにあたっては、CPMS登録されている医療機関で、クロザリルについて十分な知識を習得し審査を通過したCPMS登録医師が処方を行うなどの条件があります。
クロザリル入院治療に関してのお問合せ先:日向台病院 医療相談室(045-373-4114)まで